永田会計
社員ご長寿ベスト3に入る中川です。( ̄▽ ̄)
先日、NHKで「羽生善治
人工知能を探る」という番組がありました。
放送前の番宣で、羽生善治さんが「何をもって知性とする?生命とする?何をもって答えと
するのか」と語っておられ、人工知能により仕事の有り様がいまからまったく変わっていく、というのは何となく認識できるようになっていましたが、知性の有り様まで変わるのかと
びっくりしました。
1969年 芥川賞受賞作の「赤頭巾ちゃん 気をつけて」という本があります。大学紛争により
東大入試が中止されたことを舞台にした小説です。東大受験するはずだった主人公が、
ある日、東大法学部に学ぶ兄に「何を勉強しているのか」と尋ねたときに、「なんでもそうだが、要するにみんなを幸福にするには、どうしたらいいのかを考えてるんだよ。全員がとは
言わないが。」という答えが返ってきます。
この本を読んだ高校生のとき(30数年前)から、知性とか教養って、ひとに優しいこと、
他人の幸福を願うことなのだ、と思っているので、人工知能とは少し相容れないものでした。
番組の中で、羽生さんは、世界トップクラスの囲碁棋士に勝った「Alpla Go(アルファ碁)」の開発者であるハサビス氏に、今までの人工知能とはずいぶん違うように感じるが、と質問
します。ハサビス氏は私の人工知能は人間の知性の仕組み(脳)をプログラミングしていると答え、そして、それはいずれ社会のあらゆる問題(たとえば気候変動とか環境問題その他深淵な問題)を解決できるようになる、と答えました。(たぶんアルファ碁同志で3200万回対戦させるというような人間同士では到底不可能なことで、人間の体験したことのない未知の
やり方を見つけ出し囲碁棋士に勝ったように)
日立製作所が発行している冊子のなかで、研究開発グループ技師長
矢野和男氏はアルファ碁との対決を「機械と人間の勝負」と見ると本質を見誤る、と語られています。AI(人工知能)という新しい問題解決の方法論により、人間に求められることと我々の生きる方法論が、急速に変わりつつあるのに、それに気づかず方向違いの議論と努力がなされるべきではない、と。今後はデータとコンピュータを最大限に活用することにより、人間が解くべき課題を設定し、コンピュータが大量の仮説生成を自動化しデータ主導型で解決策を見いだすというアプローチが有効になっていくと考えられる、そして、AIとは予測不能な時代を生き抜く方法であるが、「どう問いを立てるか」が重要であり、解くべき問題の設定はあくまでも人間の仕事である、と述べられています。
ちなみに、矢野氏は大学時代から「人の幸せとは何か」「どうすれば人は幸せになるのか」に強い関心があったそうで、AIによって富が生まれ、世界の格差が解消されていくことがAI研究の最終的な目標であり、人間に寄り添い共に幸せな未来をつくるAIをめざすと締めくくられています。