今回は割増賃金についてです。
使用者は、労働者に時間外労働・休日労働・深夜労働を行わせた場合には法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。これは労働基準法で定められています。
割増賃金率は、時間外労働が2割5分以上、休日労働が3割5分以上、深夜労働が2割5分以上となっています。
割増賃金額の算定方法は、「1時間当たりの賃金額×時間外労働・休日労働または深夜労働を行わせた時間数×割増賃金率」です。
また割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。そのため月給者の場合には各種手当も含めた月給を1か月の所定労働時間で割って1時間当たりの賃金額を算出します。
この際、割増賃金の基礎となる賃金から除外されるものは、①家族手当②通勤手当③別居手当④子女教育手当⑤住宅手当⑥臨時に支払われた賃金⑦一か月を超える期間ごとに支払われる賃金、この7つです。これらに該当しない賃金は全て算入する必要があります。また、①から⑤の手当についてはこの名称の手当であれば全て除外できるというわけではありません。例えば、①の家族手当なら「扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給するもの」は除外できますが、「扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律に支給するもの」は除外できません。②の通勤手当なら「通勤に要した費用に応じて支給するもの」は除外できますが、「通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律に支給するもの」は除外できません。
給与計算は毎月行うものなので割増賃金の基礎などに漏れがないかなどを随時確認し、正しい計算となるよう気を付けましょう。
以上、藤原でした。